都市の中でレンガと軟石の建造物を見たとき、それは人工物であるにもかかわらず、何かしら自然の要素を感じる。不均一な形や色、土や石といった自然の素材の風合い、これらの要素が、人工物ではある一方で、それがまた自然由来のものであるということを明確に思い出させてくれる。
人工物を作り出す人間自体が自然の一部なら、人工物もまた自然の一部なのか。人工物と自然物の境界はどこにあるのか。
レンガや軟石は自然な風合いを持っているだけではなく、建造物を作るときに人の手で積み上げなくてはならなかった。こういった、時間と労力をかけて建設されるという側面も、単に無機質に大量生産されていく人工物との差異を生み出しているのだろうか。